化物語 アニメ 11話と原作の比較

アニメ「化物語」の各シーンが原作(小説)ではどう書かれているかを紹介しています。

アニメ 化物語 11話




小説 化物語(下) 174ページ

「でも……そんなの、暦お兄ちゃんに悪いし」
「悪いとか言うなよ。僕はそれくらいのこと、用事だなんて思わない。任せとけって」
「そう……じゃ、暦お兄ちゃんに頼もうかな」
と、千石は、手に提げていた鞄から、小さく折りたたまれた二着の衣装を取り出した。
ブルマーとスクール水着だった。
「………………」
思いつかないも何も、完全に記憶から消していた……。
「洗濯して綺麗にしたから、神原さんに会えたら返そうと思ってたんだけど……
でも、暦お兄ちゃんから返してもらえるなら、そうして頂戴。早い方がいいと思うし」
「ああ……」
ハードル高っ………。
どんな試練だよ、これ。自分が通う高校の前で、
女子中学生からブルマーとスクール水着を受け取る男……
こんなもん知り合いに見られたら、『暦お兄ちゃん』を飛び越して、
僕のニックネームは間違いなく『変態』だ……!しかし成り行き上断れない!
もしもこれか誰かが僕に対して仕掛けた罠だとしたら、
何て巧妙なんだ……!神は僕に何を為させようとしておられるんだ!
「じゃ、じゃあ……確かに」
こんなものを受け取る機会は二度とないだろうなと思いつつ、
僕はその二着の衣装を、千石から受け取った。
とうしてだか干石は、手渡すそのときに、一瞬、躊躇するような仕草を見せたが
(やはり自分で渡すべきなのかどうか、迷ったのかもしれない)、
しかし結局、最後にはその手を離した。
うーん。しかし、なんだか変な展開だ。今日は――記念すべき日になるはずなのに。

小説 化物語(下) 177ページ

神原の左腕のこともある程度まで話しているから、
怪異に関して話すには、もう千石は、遠慮する必要のない相手だった。
八九寺と。それから、羽川のことを除いて――だが。
「ああ……まあ、今は吸血鬼というよりは、『吸血鬼もどき』つて感じだけどな」
僕が人間というより『人間もどき』であるように。
彼女は――そうなのだ。
「じゃあ、あの子の所為で――暦お兄ちゃんは」
「あいつの所為じゃないよ。僕の所為だ。それに――怪異に責任を求めるのは間違っている。
あいつらは、ただ単に、そういう風にそうであるだけなんだから」
怪異にはそれに相応しい理由がある。それだけのことだ。
『うん……そう、だね』
神妙に頷く千石。
どうやら、僕の言葉を、自分のケースと照らし合わせているらしい。
忍野曰く、千石のケースは。僕がそれまでに経験していた場合とは、
意味合いがかなり違うらしいから、一概に言えることはないのだが……。
「まあ、お前はもう、僕や神原とは違って、怪異から完全に解放されてるんだから、
余計なことはあんまり考えるなよ。普通の生活に戻ればいいだけの話だ」
お前は――戻れるのだから。戻らなければならない。
「うん……そうなんだけど、でもやっぱり、
あんなことがあるとわかって……あんなものがいるとわかって……
これまで通りなんて、撫子には、とても、無理だよ」
「………………」
そりゃあ――誰にだって無理だろう。

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