アニメ「化物語」の各シーンが原作(小説)ではどう書かれているかを紹介しています。
アニメ 化物語 7話
小説 化物語(上) 331ページ
「やあ、阿良々木先輩」
「よう、神原。お前に少し用があるんだけれどさ」
[そうか。ならば]
神原は何も質問を返さず、ただ答える。まるで、予定調和のように。
「放課後、私の家まで。付き合って欲しい」
で――神原駿河の家、日本家屋である。
話をするだけならぱ、別に神原の家にまで行かずとも、
学校の空き教室や、屋上やグラウンド、あるいは学校から外に出ても、
その辺りのファーストフード店ででもすればいいと思ったし、
実際に神原にもそう言ったのだが、神原としては、
僕との話は自分の家でしたい理由があるようだった。
理由かあるのなら、従うまでだ。聞くまでもなく。
「何から話したものかな、阿良々木先輩――なにぶん私は
この通り口不調法なもので、こういう場合の手順というのは
よくわからないのだが、まあ、とりあえずは」
神原はさっと脚を組み直して、ぺこりと、僕に向かって頭を下げた。
「昨夜のことを、謝らせてもらおうと思う」
「……ああ」
僕は、一日経って回復した――しかしそうはいっても
まだ疼痛が残っているような気がする、腹部を撫でるようにしてから、頷いた。
「やっぱり、あれは、お前だったのか」
雨合羽。ゴム手袋。長靴。
さっき、片付けた衣類の中に――混じっていた。
言うまでもなく。
「やっぱりなどと、歯がゆい言い方をするのだな、阿良々木先輩は。
奥床しい人だ。完全に見抜いていたのだろう?そうでなければ、
阿良々木先輩の方から私を訪ねてくるはずがないからな」
小説 化物語(上) 357ページ
昔からスポーツをやっているからな、ウェストの辺りなんかほどよくくぴれて、
引き締まったいい身体をしているのだ。
男好きのする素敵なボディだと、言われたことがあるぞ」
「それを言った奴を連れて来い、殺してやるから」
「部活の顧問だ」
「世も末だな!」
「殺されては困る。出場停止になってしまう」
神原は。どうなのだ、と僕に重ねて問う。
冗談で言っているわけではないらしく、そして冗談半分でも冗談交じりでもないらしく、
真剣そのものの剣幕で、執拗に、神原は僕に、イエスかノーかの二者択一を迫ってくる。
「私の覚悟は本物だぞ。阿良々木先輩が求めるのなら、いつでもどこでも、
阿良々木先輩の攻めを受け切るつもりはある」
「攻め!? 受け!? なんで僕かそんなもんを求めなくちやならないんだ!?」
「ん?ああ、そうか。阿良々木先輩はBLの素養がないのか。意外だな」
「後輩の女子とBLの話とかしたくねえよ!」
「ん?BLとはボーイスラブの略だぞ?」
「知っている!そこで勘違いはしていない!」
ああ、気付いてはいたさ。
神原の部屋を片付けたとき、散らかっている書籍の中に、
いかにもそういうジャンルの表紙のものが大量に混じっていたことくらいは!
でも、敢えて触れなかったのに!見なかったことにしたのに!
「勘違いはしていないのか。反応からして、てっきりそうだと思ったのに。
ならば、阿良々木先輩は今、一体全体何に怒っているのだろう?
私は阿良々木先輩の気分を害するようなことを言ったつもりはなかったのだが、
ひょっとして、阿良々木先輩は受けなのか?」
「この話はもう終わりだ!」
小説 化物語(上) 369ページ
「……忍なら階段で見かけたぜ。なんであいつ、あんなところにいるんだ?」
「ああ、おやつのミスタードーナツを、僕が一個多く食べたら、
忍ちゃん、拗ねちゃってさ。昨日からずっと、あんな調子なんだよ」
「……………」
どんな吸血鬼だよ。
そしてお前もどんなおっさんだよ。
「涙を呑んでポン・デ・リングは譲ってあげたというのに、
いやはや、心の狭い忍ちゃんだよ、本当に。
量より質って日本語を教えてあげた方がよさそうだな」
「どうでもいいよ……心底どうでもいいよ。あと、忍野、
一つ訂正があるんだけど。こいつ、同級生じゃない。
よく見ろよ、戦場ヶ原や羽川とは、スカーフの色が違うだろ?
一個下の後輩で、名前は、神原駿河。『かんばる』は、
神様の『神』に原っぱの『原』、
『原』って書いて『ばる』って読むんだ。駿河は……えっと」
あれ。漢字はわかるけれど、その説明は難しいな……。
国語か苦手な阿良々木暦の本領発揮だ。
「駿河問いの駿河だ」神原か助け舟を出してくれた。
よかった……とはいえ、駿河問いってなんだ?
知らない言葉だけれど、問いってことは、
有名なクイズか何かのことなのだろうか?
スフィンクスの問いかけみたいな、なぞなぞめいた……。
「ああ、駿河問いね。わかったわかった」合点とばかりに、頷く忍野。
ちぇ……忍野が知らなかったら、
黙っているだけで説明を受けられたはずなのに……
僕は軽く舌打ちをしてから、それでもわからないままというのは
気持ち悪かったので、神原に、
「駿河間いって何だ?」と質問した。
「有名な江戸時代の拷問法だ。人間の手足を後ろで一まとめにして天井から吊るし、背中に重い石を載せた上で、ぐるぐる回すのだ」
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