化物語 アニメ 4話と原作の比較

アニメ「化物語」の各シーンが原作(小説)ではどう書かれているかを紹介しています。


アニメ 化物語 4話




小説 化物語(上) 153ページ

何をしにいくのか、だ。
道案内をする立場として、それは聞いておきたい
――まして、小学生女子の一人旅ともなれば、尚更だった。
「ふーんだっ。話しませんっ。黙秘権を行使しますっ」
「……………」
本当に生意気なガキだな、おい。子供が純真無垢だなんて、誰がいったんだろう。
「教えねーと、連れていってやんねーぞ」
「別に頼んでませんっ。一人で行けますっ」
「でもお前、迷子だろ?」
「だったら。なんですかっ」
「いや……八九寺、あのな、後学のために教えてやるけれど、
そういうときは、誰かを頼ればいいんだよ」
[自分に自信が持てない阿良々木さん辺りはそうすればいいですっ。
気の済むまで他人を頼ってくださいっ。でも、わたしはそんなことをする必要がないんですっ。
わたしにとってはこの程度、日常自販機なんですからっ!」
「へえ……定価販売なんだな」
変な相槌だった。まあ、八九寺の立場からしてみりゃ、お節介なんだろうけれど。
こんなの。僕だって小学生くらいの頃は、自分ひとりの力で、何でもできると信じていた。
人の手なんて借りる必要はないと――あるいは、他人に助けてもらう必要なんて皆無だと。
そう確信していた。なんでも、できるだなんて。
そんなこと。できるわけもないのに。
「わかりましたよ、お嬢様。お順いです、この住所の場所に一体何があるのか、
どうかわたくしめに教えてくださいませ」
「言葉に誠意がこもってませんっ」
なかなか頑強だった。



小説 化物語(上) 154ページ

中学生の妹なら、二人ともどっちも、この手で確実に実に落ちるというのに……
とはいえ、八九寺は賢そうな顔立ちをしているし、
馬鹿な子供をあしらうようにはいかないというわけか。
全く、どうしたものだろう。
「……………」
妙案が閃いた。尻のポケットから、財布を取り出す。手持ちは結構ある。
「お嬢ちやん、お小遣いをあげよう」
「きやっほーっ! なんでも話しますっ!」
馬鹿な子供だった。ていうか、本当に馬鹿……。
なんだかんだ言っても歴史上、
こんな手で誘拐された子供は一人もいないと思うが――
八九寺はその一人目になるかもしれない得難い人材のようだった。
「その住所には、綱手さんという方が住んでいます」
「綱手?それ、苗字か?」
「立派な苗字ですっ!」
何故か立腹した風に、八九寺は言った。
知り合いの名前をそんな風に言われたら、気分を悪くするのはわかるけど、
そんな怒鳴りつけるようなことでもないだろうに。
情緒不安定というか、なんというか。
「ふうん……で、どういう知り合いなんだ?」
「親戚です」
「親戚ね」
つまり、日曜日を利用して、親しくしている親戚の家に、
一人で遊びに行く途中ということなのだろうか。
よっぽど放任主義の親なのか、それとも、八九寺がこっそり、
親の目を盗んで抜け出て勝手にここまで来たのか、それはわからないが――
決意むなしく、休日の一人旅という小学生の冒険も、中途破綻ということらしい。



小説 化物語(上) 168ページ

いくらなんでも、さすがに同じ手は通用しないだろうし……
大体あの手は、冗談でやるから面白いんであって、
あまり繰り返して使うと、マジでやってると思われかねないからな――
誰にっていうか、自分自身に。というわけで。
「八九寺ちゃん。今度アイスクリームを食べさせてあげるから、
もうちょっとこっちに近付いてこない?」
「行きますっ!」
一気に身体を擦り寄せてくる八九寺だった。
……口約東の後払いでも別にいいらしい。
そういえば、お小遣いにしたって、結局まだ一円だってあげてないしな……
なんていうか、とんでもなく扱いやすい奴だ。
「それで、さっきの話だけれど」
「なんでしたっけ?」
「お母さん――って」
「……………」
黙秘権だった。構わず、僕は続けた。
「親戚の家だっていうのは、嘘だったのか?」
「……嘘ではありません」
八九寺は、拗ねたみたいな感じの口調で言った。
「母親だって、親戚の内でしょう」
「いや、そりゃ、そうだけどさ」
なんか屁理屈っぽくないか、それ。
というか、それ以前に――日曜日にリュックサックを背負って
母親の家を訪ねるというのは、どうもシチュエーションとして。おかしいような……。
「それに」
八九寺は拗ねたままで続けた。
「お母さんと言っても、残念なことに、もうお母さんじゃありませんから」
「……ああ」離婚。父子家庭。
それはつい最近も――聞いた話だった。



小説 化物語(上) 180ページ

「で――その迷い牛って、どんな妖怪変化、
魑魅魍魎なんだよ。どうやったら退治できるんだ」
「ったく、相変わらず暴力的な考え方をするなあ、阿良々木くんは。
何かいいことでもあったのかい?」
忍野は戦場ヶ原に、寝ているところを起こされたらしい。
日曜日の朝の情眠を邪魔するなんて酷い子だよと忍野は愚痴ったが、
しかし、現在時刻か朝ではなく既に午後であることはまあ勘弁するとしても、
毎日が日曜日一年中夏休みの忍野には、そんな言葉を吐く権利は国から
与えられていないと思ったので、フォローは入れなかった。
忍野は携帯電話を持っていないので、必然、戦場ヶ原の
携帯電話を借りての通話と相成ったわけだが、しかし、
主義及び金銭的事情以前の問題として、忍野はどうやら、かなりの機械音痴のようだった。
「で、ツンデレちゃん、僕が話すときにはどのボタンを押せばいいんだい?」
なんて馬鹿げた台詞が聞こえてきたときには、
僕か通話終了ボタンを押したくなったくらいだ。
トランシーバーじゃねえっての。

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